技能実習責任者とは?受講必須な養成講習についても徹底解説

「技能実習責任者って何?」「技能実習責任者の養成講座の内容は?」

日本で注目を集める技能実習制度ですが、すぐに受け入れ開始できるわけではなく、企業内で準備しなければならないことも多くあります。手続きや住居に関することはもちろん、自社内で技能実習を担当する社員を決めておかなければなりません。

企業が技能実習生を受け入れる際には、「技能実習責任者」を選任する必要があります。本記事では、「技能実習責任者」の役割や要件、受講必須となる養成講習について詳しく解説していきます。

目次

1:技能実習責任者とは

そもそも「技能実習責任者」とはどのような役割、要件があるのでしょうか?

ただ人を決めていればいい訳ではなく、要件なども定められていますので、役割や要件をしっかりと確認した上で、相応しい人物を選任するようにしましょう。ここでは、技能実習責任者の役割と要件、技能実習指導員・生活指導員との違いについて解説していきます。

技能実習責任者の役割

技能実習責任者の役割は、技能実習指導員や生活指導員、その他技能実習に関与する職員の監督や技能実習の進捗状況を管理することです。

主に、次に掲げる事項を統括管理します。

  1. 技能実習計画の作成
  2. 技能実習生が修得等をした技能等の評価
  3. 法務大臣及び厚生労働大臣若しくは機構又は監理団体に対する届出、報告、通知その他の手続き
  4. 帳簿書類の作成・保管、実施状況報告書の作成
  5. 技能実習生の受入れに関する準備
  6. 監理団体との連絡調整
  7. 技能実習生の保護
  8. 技能実習生の労働条件、産業安全及び労働衛生
  9. 国及び地方公共団体の関係機関、機構その他関係機関との連絡調整

業務は幅広いですが、技能実習責任者がいないと、実習生は安心して働くことができません。技能実習生を受け入れる上で最も重要な役割を果たすポジションとなります。

技能実習責任者の要件

技能実習責任者になるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 技能実施者またはその常勤の役員や職員である者
  • 自分以外の技能実習に関与する職員を監督できる立場の者
  • 過去3年以内に技能実習責任者に対する講習を修了した者

※技能実習責任者に対する講習に関しては、第2章で詳しく解説しています。

上記のすべての要件を満たす方のみが、技能実習責任者として、外国人をサポートすることができます。

また以下のような方は、技能実習責任者の欠格事由に当たるので注意してください。

  • 禁錮以上の刑に処せられて執行を終えた日から5年が経過していない
  • 過去5年以内に出入国または労働に関する法令に関して不当な行為をした
  • 未成年である

技能実習指導員・生活指導員との違い

技能実習生を受け入れる際には、技能実習責任者だけではなく、技能実習指導員・生活指導員も選任する必要があります。

技能実習責任者と、技能実習指導員・生活指導員の違いは下記の表の通りです。

名称 役割 条件 養成講習
技能実習責任者 実習生の監督や進捗状況の管理・報告 職員を監督する立場にいる、実習実施者・役員・職員 受講必須
技能実習指導員 技能実習の直接的な指導 指導する技能を5年以上経験する常勤の役員・職員 推奨
生活指導員 実習生の生活サポー・問題発生の防止 常勤の役員・職員 推奨

それぞれ、役割や条件が異なりますので、選任の際は注意が必要です。

また、技能実習責任者は、養成講習の受講が必須となりました。詳しくは後ほど解説します。技能実習指導員・生活指導員に関しては、養成講習受講の義務はありませんが、受講することにより優良要件の加点対象となります。

幅広い知識を学べる講習ですので、可能な場合は、選任する際に受講を勧めてみても良いでしょう。

2:技能実習責任者等の養成講習について

技能実習責任者の講習は、下記に当てはまる方を対象としています。

  1. 技能実習生を受け入れて技能実習を行わせている者又は行わせようとする者により、技能実習責任者に選任されている者(選任予定の者も含む。)
  2. その他技能実習責任者講習を受講して、一定水準の知識を習得し、理解を深めようとする者

ここでは、受講料と、カリキュラム・講義時間についてご紹介します。

受講料

技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の養成講習の受講料は、それぞれ下記の通りです。

技能実習責任者講習 11,500円(消費税込、テキスト代込)
技能実習指導員講習 10,500円(消費税込、テキスト代込)
生活指導員講習 9,500円(消費税込、テキスト代込)

カリキュラム・講義時間

技能実習責任者講習の標準的なカリキュラムは下記の通りです。

会場によって、一部カリキュラムや開催時間が異なる可能性はありますので、それぞれの申し込み時に、開催スケジュールを確認するようにしてください。

時間 講義時間 内容
8:30~ 開場・受付
8:55~9:00 5分 ガイダンス・注意事項
9:00~10:30 90分 講義①:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律について
10分休憩
10:40~11:10 30分 講義②:出入国管理及び難民認定法について
11:10~12:10 60分 講義③:技能実習指導の行い方
休憩(昼食)60分
13:10~14:40 90分 講義④:労働関係法令について
10分休憩
14:50~15:50 60分 講義⑤:労働災害防止・労働災害時対応について
10分休憩
16:00~16:30 30分 理解度テストの実施及び採点
16:30~16:40 10分 受講証明書交付

参考サイト:全基連/技能実習責任者等講習

基本的には、講義・テスト・解説で合計6時間の講習となります。1日で幅広い知識を身につけるため集中力が必要ですが、改めて技能実習制度について理解し、技能実施者として知っておくべきことを網羅できる講習のためしっかりと受講することが必要です。

まとめ

本記事では、技能実習責任者の役割や要件、養成講習の詳細についてご紹介しました。

技能実習生受け入れの際には、「技能実習責任者」の選任が必須になりますので、事前に知っておき、準備しましょう。

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