技能実習制度とは、外国人に日本の技術・技能や知識を伝えて母国で活躍してもらうための制度です。
実習を終えて母国に帰国した実習生の中には、自身で会社を作ったり、日系企業で活躍する人も多く、実習で身につけた知識や技術を活かして母国の発展のために活動しています。
注意すべきは、技能実習生は人手不足を補うための制度ではないということ。もちろん、日本人の雇用では人材不足に悩まされている企業が、技能実習生を受け入れることで問題を解消できるケースはあります。しかし、本来の目的は技能を母国に持ち帰ってもらううことです。それを前提に技能実習生の受け入れを検討してください。
目次
技能実習生の2つの受け入れ方法
技能実習生の受け入れ方は企業単独型と団体監理型の2種類があります。それぞれの受け入れ方法について解説していきます。ほとんどの場合、団体監理型で実習生を受け入れており、その数は全体の98%以上とも言われています。
企業単独型
企業単独型は、海外の子会社などから受け入れる、取引実績が1年以上ある海外の企業から受け入れる、年間で10億円以上の取引実績がある海外の企業から受け入れるといった方法で外国人技能実習生を雇用するものです。外国人技能実習生を受け入れる企業は、認可法人外国人技能実習機構に対して実習契約の申請を行い、認定してもらう必要があります。これに該当する企業が少なく、労力もかかることから、企業単独型で技能実習生を受け入れる企業は非常に少ないです。
団体監理型
団体監理型は、商工会や事業協同組合などの非営利団体が外国人実習生の受け入れを行い、組合に加入している企業で実習を行うという方法です。在留資格証明申請や実習計画の作成指導なども監理団体が行います。ある程度のコストはかかりますが、負担を軽減しながら技能実習生を受け入れられるのは大きなメリットだと言えます。日本で技能実習生を受け入れる企業は、ほとんどが、この団体監理型を選択しています。
技能実習の流れ
技能実習生が日本の文化やマナーを学び、さらに技能を習得するまで、技能実習はいくつかの期間に分けて在留資格が分けられています。講習→技能実習1号→2号→3号の流れに沿って、それぞれの区分を解説していきます。
講習
まず、技能実習生は、企業に配属される前に、母国の訓練校と日本入国後の研修で、日本語をはじめ日本での生活に必要なルールやマナーを勉強します。
技能実習1号
次に技能実習生は、出入国管理局から、1年間の在留カードをもらい、講習を受講。その後企業に配属されます。この最初の1年間が「技能実習1号」と言われる期間です。この期間中には、実技と学科の試験(基礎級)を受けます。2回まで受講でき、2回とも不合格になると在留資格を失い、実習が終了となります。合格者は、技能実習2号へ進みます。
技能実習1号と2号の違い、手続きに関しては下記の記事でも解説しているので参考にしてください。
→ 技能実習1号2号の違いは?移行の条件や手続きまでまるっと解説
技能実習2号
技能検定試験(基礎級)の合格者は、続く2年間も滞在が可能になります。この2年間を「技能実習2号」と呼びます。その後も実習するには、技能実習2号の期間終了前に技能検定試験3級に合格し、所定の手続きをして、技能実習3号の資格を取得する必要があります。
技能実習3号
技能検定3級合格者は、「技能実習3号」に進むことができます。技能検定3級は、学科試験を受験しなくとも、実技試験さえ合格していれば、技能実習3号として滞在できます。ただし、技能実習2号の修了後に技能実習3号の実習開始前又は開始後1年以内に1ヵ月以上の一時帰国が必要ですので注意してください。
受け入れには責任者の選任が必要
技能実習生の受け入れには、様々な準備や手続きが必要です。そのうちの1つとして、3種類の責任者を決める必要があるのです。ここでは、その3種類の責任者について、それぞれの役割を解説していきます。
技能実習責任者
「技能実習責任者」とは、事業所ごとに選任する技能実習を管理・運営する責任者のことを指します。技能実習責任者は、技能実習指導員、生活指導員など、技能実習に関わる職員を監督し、技能実習の進捗状況を管理する役割があります。
技能実習責任者は、以下の事項を統括・管理します。
- 技能実習計画の作成
- 技能実習生が修得等をした技能等の評価
- 法務大臣、厚生労働大臣、技能実習機構、監理団体に対する届出・報告・通知等の手続き
- 帳簿書類の作成・保管、実施状況報告書の作成
- 技能実習生の受入れの準備 ・監理団体との連絡調整
- 技能実習生の保護 ・技能実習生の労働条件、労働衛生に関すること
- 国・地方公共団体の関係機関、機構その他関係機関との連絡調整
→ 技能実習責任者とは?受講必須な養成講習についても徹底解説
技能実習指導員
「技能実習指導員」とは、実習生に直接指導する人のことを指します。技能実習指導員になることができるのは、指導する技能を5年以上経験する常勤の役員・職員のみです。
生活指導員
「生活指導員」とは、技能実習生の日本での生活上の留意点について指導するだけでなく、生活状況を把握するほか、実習生の相談に乗るなどして、問題の発生を未然に防止する役割を担う人のことを指します。
受け入れ可能な技能実習生の人数
最後に、ひとつの企業が受け入れ可能な技能実習生の数について解説します。受け入れ可能な技能実習生の数は、従業員の数によって異なります。受け入れ人数に関しては、下記の表を参考にしてください。
優秀な技能実習生を育成し、優良企業として認められることができれば、人数が2倍になりますので、そちらの人数も掲載しています。条件を満たせば、個人事業主としての受け入れも可能です。
従業員 | 30人以下 | 31~40人 | 41~50人 | 51~100人 | 101~200人 | 201~300人 | 301人以上 |
技能実習生受け入れ可能人数 | 3人まで | 4人まで | 5人まで | 6人まで | 10人まで | 15人まで | 従業員数の1/20 |
優良企業の場合 | 6人まで | 8人まで | 10人まで | 12人まで | 20人まで | 30人まで | 従業員数の1/10 |
まとめ
今回は、技能実習制度の仕組みについて解説しました。
ONE TEAMプロジェクトでは、2025年までに外国人の新規雇用1万人を目指して活動中です。技能実習生・特定技能生の受け入れから就業中のサポートまで徹底して実施いたします。
少しでも外国人雇用をご検討中の企業様はぜひ一度お問い合わせくださいませ。