「特定技能2号が拡大されると言うけど、実際どんな変化があるのだろう…」
深刻な人手不足を解消するために注目されている在留資格「特定技能」の制度。そんな特定技能ですが、政府の発表によると2022年度より特定技能2号の対象となる業種が拡大され、よりいっそう日本経済を支える存在になると考えられています。
とはいえ、冒頭にあるように特定技能2号が拡大したからといって、どのような変化があるのか理解できていないという方もいるかと思います。
本記事ではそんな方に向け、特定技能2号拡大による変化について解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください!!
目次
1:在留資格「特定技能」について
外国人受け入れ制度の1つである「特定技能」。日本では2019年より、特定技能として外国人の受け入れが可能になっています。目的としては「労働力の確保」があり、外国からの即戦力を企業に招き入れることが可能になりました。
同じように外国人受け入れ制度の1つとして「技能実習」もあります。技能実習生とは、技能実習制度で行われているスキル習得を行うために、外国から日本へ来ている人材のことを言います。目的としては、特定技能のように労働力の確保ではなく、学んだスキルを母国に持ち帰って還元していくことになっています。
▶︎ 技能実習制度の仕組み|受け入れ前に知っておくべき内容をご紹介
つまり、即戦力として活躍してもらいたい場合は「特定技能」による雇用が必要となるわけです。
【雇用できる分野は14種類のみ】
現在、特定技能で受け入れ可能な分野は以下の14種類のみとなっています。
農業 | 建設業 |
漁業 | 造船・船舶業 |
産業機械製造業 | 自動車整備業 |
素形材産業 | 宿泊業 |
介護業 | 航空業 |
ビルクリーニング業 | 飲食料品製造業 |
電気・電子情報関連産業 | 外食業 |
【特定技能は2つの雇用タイプがある】
特定技能のなかでも大きく2つに分けることができ、特定技能1号、特定技能2号の2つがあります。
特定技能「産業機械製造業」分野は、特定技能1号でのみ雇用可能となっています。
①:特定技能1号
特定技能1号では、特定の産業分野にて相当程度と判断された外国人が業務に従事できるようになるものです。
- 通算で5年働くことができる
- 1年ごとに在留期間の更新が必要
- 「相当程度」かどうかは試験で判断されるが、難易度は高いわけではない
- 家族を日本に同伴させることが特定技能1号ではできない
といった特徴があります。
②:特定技能2号
特定技能2号とは、特定の産業分野において熟練者と判断された外国人が業務に従事できるようになるものです。
2021年から運用開始される予定だったものの、新型コロナウイルス感染症の影響もあって開始時期が不透明となり、入管庁の発表待ちとなっています。
- 在留期間の制限がないため、日本で永続的に働くことも可能
- 6ヶ月もしくは1年で更新する必要
- 「熟練者」かどうかは特定技能1号と同じく試験にて判断されるが、日本語能力に関しては試験は不要
- 条件を満たすことができれば家族を日本へ同伴させることが可能
といった特徴があります。
特定技能2号では1号と違うメリットが大きく4点あります。
永続的に在留することが可能 |
家族を日本に呼ぶことができる |
必要な日本語能力基準が定められていない |
支援計画書の作成が不要 |
上記のようなメリットがあるものの、雇用できる分野が2種類のみという点が問題となっていました。
【特定技能で雇用するメリット】
特定技能で雇用するメリットは主に以下のようになります。
- 在留資格特定技能を作った目的が「働き手不足の解消」であるため、他の外国人労働者を雇用するための制度に比べて簡単に受け入れることが可能
- 日本語能力水準検定への合格が必要(基本的な日本語が理解できて、日常的な範囲ならばコミュニケーション可能)なため、雇用できる段階で日本語でのコミュニケーションが取れる
- 活躍できる状態の人材がはじめて「特定技能」としての就労許可が出るので、即戦力として雇用できる
2:「特定技能2号」において拡大が検討されている11業種
現状として「特定技能2号」において拡大が検討されている業種は以下の11つとなっており、計13業種が特定技能2号の対象となる予定です。
農業 | 自動車整備業 |
漁業 | 宿泊業 |
産業機械製造業 | 航空業 |
素形材産業 | 飲食料品製造業 |
ビルクリーニング業 | 外食業 |
電気・電子情報関連産業 |
介護業に関しては、在留資格「介護」があるという点から特定技能2号の対象とはなっていません。
3:「特定技能2号」拡大が与える3つの変化
「特定技能2号」拡大が与える変化として、以下の3つが挙げられます。
- 労働力不足の解消
- 在留期間の上限がない・家族同伴可能という大きなメリットが
- 介護業における人手不足に繋がる可能性も
それぞれどういった変化なのか、詳しく解説していくので参考にしてみてください!
変化①:労働力不足の解消
「特定技能2号」拡大が与える変化1つ目は、「労働力不足の解消」が挙げられます。
従来の在留資格であれば、特定技能2号という制度はあったものの「建設」「造船・舶用工業」のみが対象であり、ほとんど機能していないというのが実情でありました。
しかし、特定技能2号拡大が実現すれば、特定技能1号からの移行を検討する企業や外国人も増加し、結果として労働力不足の解消に繋がるとみられます。受け入れ企業としても、せっかく特定技能として慣れてきたのに在留期限によって雇用できなくなってしまうという事態が無くなるので、大きな変化と言えます!
変化②:在留期間の上限がない・家族同伴可能という大きなメリットが
「特定技能2号」拡大が与える変化2つ目は、「在留期間の上限がない・家族同伴可能という大きなメリットが」ということです。
前述した通り、特定技能1号と2号の大きな違いとして以下の項目が挙げられますが、特に在留期間の上限がない・家族同伴可能になるということは、日本へ来る外国人労働者にとって大きなメリットとなるため、特定技能での来日希望者が増加することが考えられます。
- 永続的に在留することが可能
- 家族を日本に呼ぶことができる
- 必要な日本語能力基準が定められていない
- 支援計画書の作成が不要
変化③:介護業における人手不足に繋がる可能性も
「特定技能2号」拡大が与える変化3つ目は、「介護業における人手不足に繋がる可能性もある」ということです。
前述したように、介護業には前から在留資格「介護」というものが存在したため、特定技能2号と同じように永住することや家族を同伴させることが可能と言う状況にありました。
そのため、外国人労働者としてもそれらのメリットを求め、在留資格「介護」を取得したいという目的を持つ人が比較的多かったのです。しかし、特定技能2号拡大により、在留資格「介護」における優位性は無くなるため、従来より介護業における人手不足に繋がってしまうという可能性もあり、懸念されています。
まとめ
本記事では特定技能2号拡大による変化について、詳しく解説してきました。
永住することや、家族を同伴させることが可能になる特定技能2号拡大は、日本経済に大きな変化をもたらすことでしょう。これから外国人労働者の雇用を考えている方、現在雇用中の外国人労働者がいる方はしっかりと制度について理解しておくことが必要な時代なのです。
特定技能外国人の雇用をご検討中の方は、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせくださいませ。